ギアスの世界について考察してみる

前の考察ほっぽっといてなんですが、別の議題で一つやってみようかな、と思います。

さて、ギアスの世界には根本的な謎があります。
いや、コードとかギアスとかがどっから沸いてきたんだよっていうのもあるんですが、そこはまぁ考察のしようがないのでいったんおいておくとして。

ここで考えるのは、「何故か絶対君主制の方が議会政治よりも運営効率がよい」という現実とは逆の現象です。

現実では議会政治の方が絶対君主制より国力が強くなり、世界を制してしまいます。
というのも、資本主義と相性が抜群なのが議会政治だからです。(共産主義は、王ではないものの政府が絶対的な支配を行う、実質絶対君主制と同じなので例外)
何故資本主義が有効かというと、「権威・上下関係」を廃して、よりフレキシブルに機能する「お金」に置き換えたのが、資本主義の強みで、これにより無数の人が商品やサービスをえり好みで選別し、サービスや商品を淘汰し、質を向上させていくことができるようになるからでしょう。(諸説ありますが、ここではこの説を採用)
一部の人だけが考えたり選別したりするより、人類全員が一人一人選別した方がそりゃ商品淘汰の効率も良いですし、何でもできる偉い人が選別するより、何にも出来ないアホが選別した方が(自分で何も出来ない分、より高品質な商品やサービスで生活を補う必要があり、更に扱いやすくないと使いこなせないため)、より厳しい基準で商品やシステムが淘汰されます。
一部の人だけがシステムに注文を付け、必要な技術を選択する絶対君主制は、市場原理が上手く回らないから生産性も伸びず、したがって国力も伸びない、と言うのが現実世界で起こった展開なのですが、ギアス世界は何故かそうはならなかったわけです。
これは何故でしょうか?

ぱっと思いつくのは、

1.ブリタニアはギアスの力や集合無意識とのアクセスによって、生産効率の悪さを補った。
2.サクラダイトがとにかくなんかもの凄いもので、生産性のパワーバランスをひっくり返す、すっごい力を持っている。つまりただのエネルギー源じゃない。それを沢山持ってたから、生産効率の低さを補えた。

の二点ですが……。
wikiの世界設定見ると、おもっきし

周辺諸国が市民革命と議会制度化により停滞していたのに対し、イングランド王国は絶対君主制を固持し、新世界で生産される富によりヘンリー10世とエドワード7世[9]の統治を通して発展を続けた。

とあるんですよね。
つまりブリタニアが議会制度を上回る勢いで凄かったんじゃなくて、議会制度を取り入れた周辺諸国の方がダメダメだったみたいです。
これは恐らく、市場経済が上手く回らなかったのだろうと考えられます。
何故でしょうか?

ここで考察に登ってくるのは、ギアスの世界での「商人の存在感のなさ」に関してです。
ぶっちゃけた話、あんだけ現代っぽいサービスや技術を発展させた世界であるにもかかわらず、何故か力を持った大商人の存在がほとんど見られません。
っつーか、商業とか資金とかの経済問題が、あまりあの世界でガチガチに政治に関わっているシーンを見かけないのですよ。
一応、反乱軍へのキョウトからの資金提供がどうのこうのとか、サクラダイト採掘で儲けがでかいとか、リフレインの密売とか、多少金が絡む話はないではないのですが、かなりウェイトが低いというか、額の大きさの割に、ほとんどミクロ経済レベルのネタしか出てきていない感があります。金利とか国債とか貨幣流通量の話とか、出てきゃしねぇ!!
つまりあの世界では商業は、あまり重要ではないと見るべきではないでしょうか。
もちろんそれはブリタニアだけの話で、EUはちゃんと商業が発達している可能性もありますが、もしEUも商業が発達していないなら、全てのつじつまが合います。
資本主義ベースの社会が上手く回るには、商業の発展が不可欠です。
大量の種類の商品を、あらゆる人の元へ、効率よく届けるシステムが成立していなければ、市場経済は回りません。
当然お金への置き換えなしで、権威や権力者を廃し、議会制度を導入したところで、あまり生産性の上がるような意味はない、というよりむしろ生産性は悪化するかもしれません。

ただ、商人の力が発達せず、資本主義の礎も生まれないまま、何故かEUの人たちは、市民革命を起こして議会政治に移行したんだよ、ということになります。
普通革命は力を付けた商人達がメインで行うんですが……。
そもそも、商業社会への最大の転換期である大航海時代を、普通にあの世界は経過しているようですし、ある程度は商業社会も育ったと見るべきでしょう。

しかし、ここでギアスや集合無意識やが絡んできたとしたらどうでしょう。
つまり、ある程度商業が発達し、商人が力を持ち、それによって市民革命が行われた後、ギアスや集合無意識が何らかの形で関わり、世界中の大商人が消滅してしまうような大事件が起こったのではないか? ということです。

これなら全てのつじつまが合いそうです。
市民革命期前後の、現在の歴史との分岐点になっているあたりで、ギアスなどの力の介入により、世界中の大商人が消滅し、商業システムが崩壊するような何らかの事件が起こった。
EUの人々は、せっかく手に入れた議会制度を、まともに機能させるための市場経済を失い、形だけの議会制度が残った。このため、むしろ市場経済なしでもある程度の生産性を維持する絶対君主制のブリタニアよりも国力が低下してしまった。

残る問題は、そもそも市場経済が失われている状態で、あんな現代みたいな携帯とかパソコンとかKMFとか作る技術が生まれるのかよって話ですが……。
そこはあれだ、何らかのギアス能力者が、必要な技術とかを教えてくれる時代があったんだよ!!
そんな社会的下地のなさそうな技術求められても、技術者もそんなもん作り方すら分からんのじゃないかと思うが、あの世界は無茶なレベルの天才がゴロゴロ居るからそこは何とか!! ろくにテストもしていなさそうな状態で、ぶっつけ本番で起動させた最新メカを、何の不具合も起こさずに動作させるような、ぶっ飛んだ技術者とか、それに合わせてぶっつけ本番で作業を行える無茶苦茶なパイロットとかが、普通にいる世界だから!!

うん。
結局「ギアスの力とか、すっげー人々のおかげで、ブリタニアは発展したんだよ!!」
という最初の結論に戻っちゃいましたな。

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