みんながギャリギャリ言ってるのでIbのプレイ動画見た

ギャリーギャリー!!
ごめんね、初見で「ユダ@聖☆おにいさん」みたいだと思って。
お前前向きに頑張るナイスガイじゃないか。いや本人は乙女と言って欲しいのか、どっちなんだ。
くっそ、ふしぎ遊戯はぬりこ派ではなかったが、それにつけてもかっこいいカマキャラはおいしいものだとは思ってはいたが、おいしすぎる。
勢いあまって、即興で書いちまったべ。
例のシーンをギャリー一人称で。



「子供の自信」



うっすらと思い出してきたことがある。
思い出すのが怖くて逃げていた記憶。あの人形だらけの部屋で何が起こったか。
必死に鍵を探しながら、心の中で一つの呪文を唱えていた記憶。あの時使い果たした心の呪文。
「これは夢だ」「時間が過ぎれば終わる」「どうしようもなくなった時は、ただ終わるのを耐えて待てばそれでいいはず」「アタシが死ぬわけない」
ひたすら繰り返していた。
それで後で気づいた。人間っていうのは、自分が死ぬとは、なかなか思えない生き物なんだっていうこと。
昔聞いたことがある。戦場で死ぬ兵士達は、みんな自分が死ぬとは思わないまま、自分がこれから死ぬのだと自覚のないまま、意識を失い、死んでしまうんだそうだ。
何が起こったかわからないままきょとんとして、あるいは大丈夫大丈夫と無根拠な自信を持ったまま。
なんのことはない、自分もそうだったのだと気づかされただけだ。
そもそもここへ着てからずっと脳内を巡っていた感覚がある。
「これはひどい」「これは死んでもおかしくない状況だわ」「こんなところに迷い込んじゃったアタシたち可哀想」
そんな他人事目線。
この恐怖劇におびえまわりながらも、どこかで他人事だと思おうとしていた。
たくさんお喋りして、イヴのこと気遣って、それでアタシは日常を保とうとしていた。
大丈夫。恐怖はいつか終わる。夢が覚めるみたいに。
子供の頃、親に怒られたり、歯医者へ行くたびに心の中で繰り返していた「時間は必ず過ぎ去る」という呪文。過ぎた後には日常が戻ってくるはずという、確たる期待。それはつまるところ、自分が死ぬはずないという、無根拠な自信があるから抱く感覚だ。
でも、その無根拠な自信こそが人間であるという証なんだとも思う。

あの冷たい部屋の中で、アタシはその自信を一度使い果たした。
「もうすぐ終わる」「きっと終わる」という期待を百度抱き、百度裏切られ、そしてそれを百回ずつ繰り返して、ようやく期待を抱くこと自体を放棄した。
アタシ一人だったらそこで終わってしまっていたんだろうとつくづく思う。
でもイヴがアタシのその無根拠な自信を取り戻してくれた。
その時に、もう一つ気づいたこともあった。
イヴは、本当に「子供」なんだと。
そして「子供」って本当に凄いと。
生きるための、その無根拠な自信を、溢れんばかりに持っているのが子供なんだってことに、あんたは気づかせてくれたね。アタシはあの時あんたの自信を分けてもらったんだ。
正直な話、最初に出会ったとき、アタシは内心あんたにすらちょっとびびっていたの。大人しそうで、表情の少ない、どちらかというと生気とは反対側にいる、お人形さんみたいな子だと、最初はそう思っていた。それこそ、まるで美術品のような子だと。
そんなわけなかったのに。
そんなだったら、イヴがアタシに命の薔薇を運んできてくれるはずなかったのに。
イヴは最初から生命力に溢れた「子供」だったの。アタシが馬鹿で気づいてなかっただけ。

ねぇ、だからアタシも知ってるよイヴ。
あんたがここで死ぬはずないってこと。
本当理不尽よね。死ぬはずのないあんたの薔薇が、ここで散ることなんて絶対起こらないはずなのに。
なのに何でかあの真っ赤な薔薇をメアリーが持っちゃっててさ。
起こるはずのないことが起こってるんだもの。そりゃ不安になるよ。分かるよ。
大丈夫。あんたがここで死ぬわけない。無根拠なその自信を、アタシも持っているんだ。
アタシさ、そりゃびびってはいるんだけど、でも今本当に自分でもびっくりするくらい、簡単に自分の薔薇を差し出せちゃったんだ。このビビリのアタシがよ?
大丈夫、ここで死ぬはずない、って、その自信を、アタシはあんたからもらったの。
本当さ、助けられているのはアタシのほうなんだってば。
だからさ、アンタはただ走って行きな。
「本当のこと」なんて、聞かなくていい。知らなくていい。そんなもの、ホントどうでもいいものなんだよ。子供の無根拠な自信の前には、そんな些細なこと関係ない。
他の大人がここにいたらさ、アタシのこと怒ったかもしれないね。こんな危ないところに小さい女の子を、ひとりぼっちで放り出して、そのままいなくなるなんて、何考えてるんだって。
でもアタシ知ってる。ここで一人になったって、あんたは死んだりなんかしない。絶対。あんたが知っているのと同じように知ってる。
だからあんたは、アタシのことなんか気にして自信を曇らせたりせずにさ、ただ突き進んでいきな。
アタシは……そうね、休憩して一服するために、ちょっとここに残っただけってことでいいでしょ。子供に煙草の煙は毒だもんね。あぁ、煙草切らしてたんだった、ライター出してから気づいたわ。まぁどうでもいいわよ、その辺はさ。
あぁ、あと花びら2枚くらいかな。今もう前見えないんだけど、視界なくなると時間感覚も曖昧になるもんだね。

ねぇ本当、子供って凄いね、イヴ。
こんなになってさ、自分が死ぬって思い知らされる状況でさ、あたしまだ自分は死なないって、無根拠な自信もっていられてるんだよ。
理屈なんかない。でも、あんたが生きてるってことは、アタシが生きてるってことと同じ意味なんだって絵空事。例えアタシが死んでも、あんたが生きていればアタシは生きてるんだって、そんな馬鹿みたいなことを、根拠もないのに、アタシは確信しちゃってるんだ。
ホントとんでもない馬鹿みたいな自信を、あんたがくれたんだ。
ありがとう、イヴ。
生き抜いて、イヴ。
ううん、違うね。あんたが生き残ること、アタシは知ってるよ、イヴ。


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あとがき

なんつーか、なんだかんだでギャリーは等身大なのがいいよなぁと。
実際あのゲームって、どちらかというとギャリーに感情移入しやすいよね。
イブが内気そうでいたいけで、でも一生懸命で、命を助けてくれたという、どうあがいてもお返しに護りたくなっちゃうような子供で、大人のギャリーが護るべきだと思うのは当然なんだけど、所詮ヒーローなんかにはなれないというか、自分のことで精一杯なくらいにホラーな状況にびびりまくってて、護るどころか一人になったら自分が恐怖で発狂して逆にイヴに救われる不甲斐なさで、でも最後の最後の最低限ラインで護ることだけはできた。その最低限ラインってのが、自分の命差し出すという凄いハードルで来ちゃうわけだけど、ハードルが来たときにちゃんと飛べた。そういう視点にBエンドは見えるわけで……

しっかし、ピンドラ形式でみんなで薔薇を分け合ったら3人で出られるくね? という視点はなしなのか。まぁそれやるとホラーゲーム的にどうなんという話にはなるが。

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