銀英伝考察 帝国キャラと同盟キャラの違い

なんか全体として受ける印象が、違うなぁと常々思っていたのですよ。
帝国軍と同盟軍、両陣営のキャラ。
で、その違いにふと気づいたのですが、あれです。

幼少期のエピソードが同盟キャラにはないんですよ。

もっと正確に言うなら、何故今のような行動を行う、今のような性格になったのか、それを示すエピソードがない。

帝国キャラには、かなり分かりやすい理由があります。
それこそラインハルトは何故覇道に走ったかの理由から、外伝では生まれ持った気質まで、丁寧に描かれています。
覇道に走ったのは姉のためであり、途中である意味道が狂ったのは死んでしまったキルヒアイスがまさしく半身と呼べる相手であったからであり、後半やたらとヤンに拘ったのは、幼少期から必ず最後には勝ちたがる気質だった上、最後には必ず勝てるだけの実力があったため、ヤンに出会う前からずっと「勝つまで戦い続ける」コマンドを押し続けていた子だったからです。
あのカリスマ性と器の大きさは、ひたむきな少年らしい真っ直ぐな心を生まれ持ち、大人になるまでそれを維持し続け、さらに凄まじい才能に裏打ちされた自信とがあったから。
そして、それら二つから成る、生意気なまでの自尊心の高さがあふれ出ているからこその、あの剛胆にして繊細な、苛烈にしてひたむきな、尊大な自信に溢れながら正義感の強い、カリスマ性が生まれたのだということが、とてもよく分かります。

キルヒアイスは、それこそ外伝でいかにラインハルトと共にあり続けたか、共にある時間を大切にしてきたかを描かれています。そしてアンネローゼを愛していた。だからこそあのシーンで庇う人になったわけです。

ミッターマイヤーのあの素直で優しくありながら、冒険的で正義感の強い人格は、優しい家庭に育てられたのと、それでいて下級階級だったために、煮え湯も飲んでいたから正義を知ったわけです。

ロイエンタールは歪みまくった家庭環境に育って、人格も歪みまくりましたが、才覚に優れていた上、良い友人に恵まれたため、公人としては立派な人に育ちました。


オーベルシュタインは過去こそ分からないものの、目の障害のためにそうとう苦労してああなったらしいというのは理解できます。

これらの過去が、歴史を決める様々な行動を決定づけたことがよく分かるわけです。
メインキャラで「とにかくそういう性格だったとしか言いようがない」ってキャラは、ヒルダくらいじゃないですかね。
そんな彼女でさえ、理解者である父親がいたからこそ、ああ育ったのだと言うことが見え隠れしています。

ところが同盟キャラにはそういった人格説明が、ほぼないんですよね。
例えばヤンは、まぁ要所要所で見え隠れする器の大きさは生まれつきだったとしても、あの歴史を決定づけた、異常なまでの「シビリアンコントロールへのこだわり」を、いつどうして身につけたのか。それは分からないままです。
いやスルーしかけましたが、あの器の大きさもやっぱり謎すぎます。
物腰柔らかな自然体のまま、捻くれたいたずらをやらかす。気弱なほど優しいのに、苛烈沈着冷静なのに大胆。人の心や思考をエスパーのように読み解くくせに、身の回りの人間関係はさっぱり理解できない、不安定な眼力。
どんな気質に生まれたらこうなるんだよ!! って感じです。器の構造が分からないというか。
さらに一応主人公の一人であるくせに、来歴もざっくりと言葉で説明されるだけで、何を思いながらこう育ったのかは謎のまま。
ぶっちゃけこの人かなり子供時代想像しにくいですよね。ヒッキーしていたのと同時に、そうとうなやんちゃをやらかしてそうですが。
ユリアンも少年時代から描写がある割に、養子にもらわれる前はどんな風に生きてきたのか謎のままです。
他のキャラも基本的に、士官学校や軍に入ってからの来歴しか分からず、その時には、もうすでにこんな性格でした、と言うような奴らばかりです。
アッシュビーの時代の奴らも大体そんな感じ。
辛うじてアッテンボローのみ、家族関係が見えたりしますが、これは結構珍しいケースかと。

この辺の違いが、帝国キャラのどこか子供の見る夢のようなひたむきさと、同盟キャラの大人びた渋さを作り出しているのかな、と思いました。


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余談ですが、最近某無双から銀英伝に入る方がちらほらおられるようなので、銀英伝から無双へ入ってみたくなった自分が居ます。えぇ、戦国は実はBASARAしかやってないんですよね。

コメント

匿名 さんのコメント…
それは単純な帝国と複雑な民主国家の同盟の違いです。
世界が単純な帝国では幼少期のエピソードがそのまま
個人の性格を形成してますが、現実社会同様、
様々な要素の絡む同盟では幼少期のエピソードと
現在のキャラとの間に膨大な積み重ねがあり、
いちいち書いてたらきりがありません。その多様さ複雑さの違いが
表現の差になっているのです

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