エルガンディSS

かなり脳内で勝手な設定作ってます。
シチュエーションが分かりにくいですが、アンネローゼあたりに話してるっぽいです。
ちなみにSSとはソウルスキルではなく、ショートストーリーの略であり(ry

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僕がこの世界に現出した理由なんて、僕にも分からない。
ある日学校帰りに、何も書かれていない真っ白なカードを拾った。それだけだ。ベタでゴメンね。
まぁ、飼っていた金魚が死んで、気晴らしに買ったゲームがクソゲーで、楽しみにしていた漫画が打ちきりになって、プレステ2がソニータイマーを食らって、何もかもが気に入らなかった日だから、普通持って帰らないような物まで、お家に持って帰っちゃったわけだ。アンニュイって奴。
トレカっぽい裏面のカードだったから、宿題の合間にそれっぽいキャラクターを落書きした。
絵はつけなかった。書くの面倒だったからテキストだけ書いた。いやまぁ、絵が描けないオタクだっているだろ、ってのが本音だけどさ。
キャラクターの名前は、打ち切りになった漫画の、時空を旅する案内役のキャラクターから取って、『エルガンディ』。テキスト内容は、細々としたことを書くのが面倒だから、『僕』とだけ。
なんでそれを書いたのかなんて分かるわけもない。最近起こりまくった嫌なことを考えていたせいかもしれないけど、自分が何を考えていたのかなんて、いちいち細かく覚えているわけがない。
いい年して子供かよって感じのアイタタタ行動だけど、まぁ、とにかく何かをしてイライラを紛らわせたかったんだから、そこはね。
で、とにかくそれきりだったんだ。
気がついたらここにいた。
このラヴァートの大地に、僕は立っていた。
まだ世界が四つの勢力に別れてなんかいなかった、古い古い時代の話だ。
混沌とした無数の勢力がせめぎ合う、今のラヴァートよりもごちゃごちゃしているけど、ある意味単純だった時代。
見知らぬ広い世界に、ま、当然だけど僕は目を奪われた。それから戸惑って、最後は恐怖と好奇心と期待をない交ぜにした高揚を燃料に、世界を歩き始めた。
その時深くは考えなかったね。何故自分がこの世界に来てしまったのか。理由は単純。まだ夢とも現とも知れなかったから。
まずは情報収集から始めるのがセオリーだし、実際に僕もそうした。世界のルールを知るのは、おもしろい探検だよ。
元いた世界との違いは、もちろん色々あったけれど、概ねよくあるファンタジーRPGの世界と言って、間違いのないものだった。
ただ、一番の大きな違いはカードがあるってこと。
木々にも大地にも、建物にも、動物にも、そして人にも、みんなカードがある。強く意識して見ると、彼らを取り囲むような枠がくるくると回転しているのが見える。そのまま手を伸ばせば、小さなカードになって、それは僕の手のひらの中に入り込む。
書いてあるのは、まぁ、トレーディングカードによくあるテキストとフレーバーテキストだ。つまり、それがどんなもので、どんな性格・性質で、どんな運命を背負い、場合によってはどんな未来に向かっていくのか。それらが全て書いてある。
もっともそのカードは、僕にしか見えないし触れないみたいだった。
このことに気づいた初めのうち、僕は預言者の真似事をして遊び回った。僕には何だって分かってしまうのだから、そりゃみんな驚くに決まっている。人によっては僕を半ば崇拝しちゃう奴までいたっけな。って、それは今もか。チートですみませんね。
ともあれ、初めの数ヶ月は、僕もタカをくくっていた。
よくあるファンタジーものの世界に迷い込む、それ自体がよくあるシチュエーション。漠然と何とかなる気がしてたんだよ。なるわけないのが現実だけど、こちとら世の中出る前の高校生だからね。頭で分かってても実感しているわけがない。もうちょっと人生の判定甘くしてくれても罰は当たらないと思うんだけどなぁ。
まぁとにかく、人々を預言で引っかき回して遊びながらのその日暮らしに飽きた頃、僕は定番のホームシックにかかった。
それから一年くらいかな。ひたすら帰る方法を探して冒険し回ったよ。というより、帰るという目的を楽しみにして生きることにした。目的があると人間、前向きにやっていける物だからね。
その途中でいくつかのことをさらに学んだけど、一番大きな事はカードの書き換えかな。
読んで字の如く、色々と制約と条件があるけど、それらさえクリアすれば、僕はこの世界のカードを書き換えることが出来ると気づいたんだ。
つまり、世界にある物の本質を書き換える事が出来た。いやもうホント、文字通りチート。ズルにもほどがある。どんだけー、だ。
でもそのうち僕も、この世界から出られないことに、だんだん焦るようになっていった。
何でか分かるかい?
この世界が嫌になったんだよ。
飽きたから? そんな単純な物じゃない。
……いや、ある意味もっと単純な理由かな。リピートするけど、僕は世界中にある物の本質を、カードとして読み取れて、場合によっては書き換えられた。
はっきり言って、薄ら寒いよ、そう言う世界。
いや、寒いどころじゃないね。ヤバイ。世界中がただの作り物にしか見えなくなったんだ。
分かるかなぁ? 意志を持った存在は、世界で僕一人。それ以外はみんなからくり人形。それもからくりの仕組みは、全部僕に見えているも同然の。こんな独りぼっちワールド、今時B級ホラーでも流行らないって。
決定的だったのは、自分が『死なない』と分かった時かな。
あの時代にすでに、アンデッドな奴らはラヴァートにいたけど、そう言うレベルじゃない。
無かったことになるんだ。死んだ事実そのものが。マジヤバイ。
で、うすうす感じてたけど、髪も髭も切らない限りは伸びない。コレ。十中八九、体の時間止まってるって分かる。不老って奴。最悪。
いやもう、ベタなネタでも自分が嵌ると、本気で地獄だよ。勘弁してくださいだ。
で、必死でラヴァートからの脱出方法を探し回った。魔法の書もひっくり返して研究したし、世界中かけずり回った。軽率だった自分を本気で反省しちゃったりもした。教訓物語の主人公かっての。
多分、そんなこんなをやって二年目頃かな、薄々気づき始めたのは。しばらくはそのチラつく可能性から必死に目をそらしてたけどね。
三年目になって、この世界に慣れきって、いろんな物に疲れ果てた頃。認めるしか無くなったんだ。
つまりさ、僕はさ、本物の、あの現実世界に生きていた『僕』じゃないってこと。
どういう事か分かる?
僕もカードなんだよ。あの日、現実世界の本物の僕が落書きしたカードそのもの。
記憶も、性格も、全部本物の僕をコピーした、カードなんだ。ただ『僕』という来訪者の属性を書いたから、こんなチートな事になっているだけで。
多分本物の僕は今頃、普通に現実世界で普通の生活の続きをしている。コピーされた僕の現状なんて、考えもしていないで、カードに落書きしたことすら、忘れきって暮らしているんじゃないかな。つまり僕も『お人形さん』だったわけだ。
でもさ、何でそれを認める気になったか分かる?
実は、思い出せないってことに、ようやく気づいたんだ。
僕の『名前』。
カードに書いた『エルガンディ』以外、僕は自分の名前を思い出せなかった。
あ、エルガンディが本名じゃないことだけは確かだよ。そんな名前の日本人いるわけないし、親どんたけDQNだよ。そもそも本名とは違うってことだけは、漠然と分かってたんだ。
だからさ、僕はこの世界から出られるわけがなかったんだ。いや、ラヴァートと同じ類の異空間ならいくらでも行けるだろうけど、それでもカードの世界からは出られない。
僕はエルガンディ。カードで出来たこの世界の一部だ。出られるわけがない。
はい、文字通り二次元の住人になってしまいました。めでたしめでたし。
いやもうはっきり言って、絶望どころの騒ぎじゃなかったね。あれはちょっと、マジで発狂しかけた。傍目からあの頃の僕を観察してる奴が居たら、ドン引きしたと思うね。僕でも引くよ。自暴自棄になって、やってること滅茶苦茶。自殺とか何回試したか。すぐなかったことになって、復活しちゃったけど。ちょっと目の前にいてほしくないよね、そーゆー奴。リアルワールドでは会いたくない。いや、ここリアルワールドかよって話だけど。
でもまぁ、なんていうかさ、そーゆー半発狂って疲れるんだよ。ホント。
半年くらい暴れ回って疲れ果ててね、抵抗したり現状を否定したりするだけのエネルギーは使い果たしちゃったわけ。
そうなったらもう、前を向いて歩くしか、やること残ってないものでしょ。
つまりさ、自分の人生楽しくするのは自分次第。
時間は永遠にある。
なら僕は、僕自身で面白いプランを考えて、実行して、永遠の暇つぶしを自分にさせてあげるための、エンターテイナーにならなきゃいけない。
そうと決まったら、この世界はおあつらえ向きだったね。もともとこういう世界観は好きだし。実際になってしまったのはアレだったけど、本来は二次元ワールド嫌いじゃない人種なわけだし。
そんなこんなで、僕のながーい永遠の暇つぶしが始まったわけだ。
今じゃその道500年。もうこれ暇つぶしのプロじゃないかな?
悲観はもうしていないね。オタク的パラダイスに迷い込んだとでも思ってるから。
あぁ、今は肩書きは多分『僕』じゃなくて、『混沌の使者』になってるんじゃないかな。君が僕をそう定義づけてくれたから。って、自分のカードははっきりとは見られないから、確認しようはないんだけどね。
とにかくこれが、この世界に来て今までの僕の話だよ。
ん?
だから言っただろ? どうせ僕の話の半分も理解できないって。
え、プレステ2が何かって? 何でそこに食いつくかな。Z軸ない世界の住人はこれだから。
まぁいいよ。時間だけは無限にある。
でも頼んどいた仕事は、ちゃんとしてくれよ。まぁ君はガルディレアより仕事早いから問題ないか。
じゃあとりあえず、CPUの歴史からでもいってみる?
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実際エルガンディがあの世界にいる理由ってなんなんだろうなぁ。
あと、年齢の割(服のベースが学ランだから、中学生か高校生だよな)に、結構古いネタ引っ張ってきてる気もするが、リアル世界から見て、いつ頃あっちの世界に行っちゃったんだろう。まぁ、オタクって結構古い作品まで漁ったりするからなぁ。

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